実体験による、決死のアドバイスとは?

最近話題の無投票当選を果たし、晴れて“アクミュー村”の村長に就任いたしました。

しかし、いまはまだ“名ばかり村長”。この村の地形も、設備も、お店も、自然環境も、そしてどんな住民が住んでいるのかも、1ミリたりともわかっていない状況である。

「さて、何から始めようか……」

自由に暮らすことがメインの目的という、世界でも指折りの牧歌的なゲームだが、とりあえず何かしら目的が欲しい。

そんなことを考えていたら、この日付でアクミュー村の村長秘書に就任したしずえさんが、じつに魅力的な提案をしてくれたではないか。

まずは、自宅を建てられるのがいいかと! 不動産屋のたぬきちさんに相談されるといいですよ!」

親切なしずえさんの助言ではあるが、感受性の強い俺はついつい発言の裏の意味まで読み取ってしまうのである。

「彼女が言いたいことは要するに……高い金を払って分譲住宅を買ってしまえば、簡単にはこの村から引っ越せませんよ……ということだろう。そのうえで、苛烈な村長業務を俺に(((( ;゚Д゚)))」

サラリーマン時代のさまざまな経験が、俺から素直な心を奪ってしまったのかもしれない。違うかもしれない。

何はともあれ、しずえさんに言われた通り、不動産屋に相談しようではないか。

一足飛びに金の話になって、「なんちゅーがめつい不動産屋だ」と思わなくもなかったが、そこはかつて、このシリーズをさんざん遊んできた俺である。彼のことは、よく知っていた。

「たぬきちさん、相変わらずお金にはシビアだな……w」

『どうぶつの森』シリーズの序盤は、この不動産屋のたぬきちとの関わりを中心に展開していく。生活の中で生まれるいくばくかのお金も、大半は住宅ローンの支払いで消滅。このサイクルはけっこう長いこと続くので、そのうちに、

「俺は……ローンを返すために生きているのか、それとも生きるためにローンを返しているのか……

という哲学的な自問に苛まれることになる。何度もこのゲームを“牧歌的だ”と称してきたが、意外や意外“社会派”の一面もあることを見逃してはならない(若干、オーバーだがね)。

とはいえローンのことはしばし忘れて、まずは楽しいマイホームの場所を決めようではないか。この村、そこそこ広そうなので、宅地も選り取り見取りなのではないですかね??



そう思って探し始めたのだが、これが思っていたよりも選定が難しかった。

「あ、ここ、いいな!」

と決めようとすると、

「そこはガケが近すぎて危険だから、ダメだなも」

とたぬきち。

「じゃあ……こっちでいいわ!!」

と決定しようとしても、

「あ。土地が狭すぎるだなも。それじゃあ家が建てられないだなも」

なんてタヌキが言う。

こんなやり取りを5回も6回もくり返すうち、次第に、

もういいよどこでも……。村ハズレだろうが線路の近くでやかましかろうが、なんでもいいから早く決めてくれよ……」

という、やさぐれた気分になってきた。

そんなとき、俺に“喝”を入れたのは、あろうことか同僚の“ぶつ森の鬼”ことたっちーである。彼女はまなじりを吊り上げて、つぎのように言うのである。

おい!!! そんな投げやりな気分で自宅を選んだらアカンで!!! 入居してから苦労するのは、目に見えているんや!!!!」

なんか、デカい話になりそうだなオイ……。俺は圧倒されつつ、たっちーの言に耳を傾けた。

「いまウチは、引っ越し先を探してるねん。というのも、上の住人が嫌がらせの騒音を続けていて、家族全員がノイローゼになりそうなんや……

俺は「ゴクリ……」と唾を飲み込んだ。

四六時中とんでもない足音と、ワーワーギャーギャーと大声でわめいている声が響いてくるねん。辟易していたある日、遠目からその家の中がチラリと見えたんだけど……」

「う、うん」

「ウチのマンション、ペット禁止なんだけど、大量の動物がおんねん、その家……。パッと見ただけで大型犬が2匹、猫は確認できただけで5匹おった……。ほかにもケージがたくさん見えたので、ウサギとか鳥も飼っているかもな。……というわけで、家探しは慎重にやらなアカンねん!! 肝に銘じておけや!!!

言葉を失っていた俺だったがようやく我に返り、鬼の形相のたっちーに言い返した。

「……それ1ミリも『どうぶつの森』のアドバイスじゃないやんけ!!!!!」

それでも、血を吐く勢いのたっちーの言葉に従って入念な土地調査を行った結果、

せせらぎも優しい川のほとりのこの土地に、家を建ててみました! 村の中心あたりの場所だし、役場も近いので、これ以上ない場所だろう!!

さあ、拠点ができたぞ。まずは……散歩にでも出かけるかー^^